40代後半フリーランスエンジニアが考える『良い案件』とは?

フリーランスの現実

フリーランスエンジニアの多くは、エージェントから案件を紹介してもらって、紹介された案件に参画して仕事をしていると思います。

数多くの案件がありますが、「良い案件」だけではありません。自分にとって「悪い案件」もあります。SESが「案件ガチャ」と言われるのはこれが理由です。

これまで20年以上SESで仕事をしてきて、僕なりに考える「良い案件」とはどのような案件なのかをお伝えします。

「良い案件」は経験を重ねるとともに変わった

20代、30代の若い頃。貪欲にスキルを身につけたいと思っていた頃は、新しいスキルが身に付けられる案件こそが「良い案件」だと思っていました。

しかし、多くの案件に参画し、そこで色々な経験をする中で価値観が変わって行きました。それとともに自分が考える「良い案件」も変わりました。

大きな転換点は体調を崩したこと

33歳の時、大手外資系企業の案件に参画しました。東日本大震災があった年の年末頃です。

案件の内容的には最新スキルを身につけられて、それまでの僕だったら一見すると「良い案件」でした。

しかし、この案件は僕にとっては最悪な案件でした。

プロジェクトは大炎上。そんな状況なので人間関係も殺伐としており、ミーティングでは進捗遅れや障害を発生させた責任のなすりつけ合いが発生するような最悪な雰囲気。勤務地は片道2時間の遠方。それなのに毎日終電間際まで稼働。

僕も他の人が作り込んだバグだったのに、自分の責任にされてPMからは「君、ダメだね」と言われる始末。さらにこのPMは、炎上を鎮めるべく対応している僕ら外注要員のメンバーに対して「君たちのこの先の将来は真っ暗だね」というようなことを平気言うような人でした。

そんな環境で働いていたら、夜にものすごい量の寝汗をかくようなりました。夜中に目が覚めて着替えないといけないくらいでした。

そしてその後、体に湿疹ができ始めます。湿疹は体全体に広がって行きました。痒くてよく眠れず、睡眠不足の日々が続くようになりました。

精神的にも常に憂鬱な状態で、心身ともにボロボロになっていたため、会社に契約を延長せずに離任させて欲しいと頼みました。会社としては離任させたくなかったようで、少し揉めましたがなんとか離任させてもらえました。

携わった期間はたった3ヶ月です。この短期間で完全に体調がおかしくなってしまったのです。

離任してストレスが激減したことで寝汗はなくなりました。湿疹も9割くらいはすぐに治りましたが、残り1割がなかなか治らず、完治するまでに5年くらいかかりました。

この経験を機に、僕の仕事に対する考え方は大きく変わりました。

この経験は今現在においても強烈なトラウマとして残っており、案件が変わる時に「またこのような辛い経験をするのではないか」という不安を抱かせる要因になっています。

心身ともに安定した状態で働けることを最優先するようになった

上記の体調を崩した経験から、スキルよりも心と体の安定を優先させるようになりました。

僕が会社員からフリーランスになる道を選ぶきっかけにもなりました。会社員だとこのような体調を崩すほどのアンマッチな案件に参画した場合に、すぐに離任できないからです。

詳しくは お金、スキルよりも消耗しないことを優先した理由 という記事にも書いています。もしご興味あれば読んでみてください。

もちろん、スキルもお金も大事です。でもそれ以上に健康な状態で働けないとスキルもお金も失うことに繋がります。一番大事なのは健康なんです。

なので、案件探しの時は、無理なく自分の能力を発揮できる安定した状態で働けることを最優先にするようになりました。

僕が「良い案件」だと思う5つの条件

実際に案件を経験してきた中で、「これは長く働けそうだ」と感じる共通点がありました。面談を受ける時に可能な限り確認している点です。

残業が少なく稼働が安定している

健康的に働くために一番最初に確認しているところです。

残業が多いと、その分睡眠時間が削られます。そして長時間労働による疲労も蓄積します。健康に良いことは何一つありません。

また、自己啓発の時間もなくなるため、スキル向上も難しくなります。

求められるスキルに無理がない

テクニカルスキル的に自分に経験がなかったり、あまり詳しくないスキルを使うことになることがあります。このような案件に参画することは難しいのですが、例えばRubyとPythonを使う案件でRubyは経験豊富だけど、Pythonはほとんど触れたことがないという場合に参画できることがあります。

その場合、あまり詳しくないスキルについては業務の中でキャッチアップしてくれれば良いと長い目で見てくれれば良いのですが、そうでない場合は辛くなります。

尚、このように未経験スキルを長い目で見てキャッチアップする時間をくれると、新たに経験スキルが増えることになるので、そう言う意味でもこのような案件は良い案件です。

フリーランスエンジニアは即戦力としての能力を求められているので、自分がそれに応えられる案件であることが重要になります。

それともう一つ。

どんなに努力しても克服できない、自分にとって苦手なことに対して、高いレベルの能力を求められる案件も避けるべきです。

僕の場合は多くの人の前で上手く話すことです。これは子供の頃から苦手で、自分なりに努力はしたものの克服できなかった能力です。生まれ持った資質や育った環境などの要因で、どうしても上手くできないことがあります。誰にでも1つや2つはあるのではと思います。

本来、このような自分が苦手なことは、それを上手にできる人に任せてしまった方が効率的です。しかし、職場によってはそれが許されないケースがあります。マンパワーの問題で1人の人に多くのことを求める職場は少なくありません。

僕も人前で話す高い能力を求められる職場では「話すの下手だよね」と言われた経験があります。「だったら僕にやらせないでください」と言いたいところでしたが、モメるのが嫌だったので静かにその職場から去りました。

長期で契約が継続しそう

スポットで短期契約の案件は、炎上してて人海戦術で鎮火中の案件であることが多いので、参画は見送るようにしています。

僕はある程度長期(最低でも1年)で腰を据えて1つの環境で仕事をしたいタイプなので、問題がなければ契約が長期で継続しそうな案件は良い案件だと考えています。

それは、自分が長期でその環境で働きたいと思える案件でもあります。

この状態であれば、企業側は自分に長く居て欲しい、自分もここで長く働きたいという相思相愛の状態なので、仕事もやりやすくなります。

お互いに信頼関係を築けそうか。ここが大事になります。

適正な単価である

単価も重要です。

安すぎれば、自分を安売りすることになります。

自分が買い物する時もそうですが、誰でも安くて品質が高いものが欲しいです。それはSESにおける人を受け入れる側も同じです。できれば安い単価で納得の行く結果を出して欲しいとなります。

ただこの「安い」の基準が企業によって異なります。同じ値段でもお金持ちは安いと思う、そうでない人は高いと思う。これと同じように、同じ単価でも儲かっている企業は安いと思うし、そうでない企業は高いとなります。

何が言いたいかというと、できれば儲かっている企業の案件の方が納得行く単価を得やすいということです。お金に余裕がある企業は気持ち的にも余裕があるので、あまりギスギスしておらず働きやすい環境である確率が高くなります。要するに「良い案件」である可能性が高いということです。

但し、あまりに高すぎるとプレッシャーになってしまって思うように結果を出せないことに繋がる可能性があるので気をつけた方がいいです。

この適性単価の正確な金額は分からないのですが、僕は今でも案件が変わる時に少しずつ単価を上げて、適正単価を探ってます。前は〇〇万円で特に問題なく仕事できた。今回は+10万円の案件でオファーがあるか確認してみようと言った感じです。「今の自分ではこれ以上高い単価だと期待を裏切りそうで怖い」と思った時は現状維持の単価で探すこともあります。

人間関係が良い

「良い案件」の一番大事な要素はこの人間関係が良いかどうかだと思います。

これは働き方や職種に関係なく、自分以外の誰かと一緒に仕事をする場合は一番大事なところだと思います。

厄介なのは、この人間関係が良いかどうかは、その環境に入ってみないと分からないということです。知り合い経由で紹介された案件であれば、事前にある程度確認できますが、そうでない案件ではできません。なので、面談などで得た情報で人間関係が良さそうかを判断するしかないです。

そして、人間関係が良い可能性が高い案件が上記で紹介した、以下条件を満たす案件になります。僕が20年以上エンジニア続けてきての経験則になります。

  • 残業が少なく稼働が安定している
  • 求められるスキルに無理がない
  • 長期で契約が継続しそう
  • 適正な単価である

逆に「避けたい案件」も把握しておく

どんな案件を選ぶかと同じくらい、「選ばない案件」を決めておくことも大切だと考えています。
僕にとっては、上記の「良い案件だと思う5つの条件」を満たさない案件になります。

これは人によって異なると思います。例えば

  • 常に炎上している
  • スキルが身につかない
  • キャッチアップ期間がほとんどない
  • 役割や期待が曖昧

などです。

過去の経験も踏まえて、「このような案件だけは絶対に避けよう」という基準は設けておくことをおすすめします。

尚、以前 ブラックな案件を面談で見抜くポイント という記事を書いているので、ご興味があれば参考にしてみてください。

良い案件は人によって違う

僕にとっての良い案件が、すべての人に当てはまるとは思っていません。

大切なのは、自分にとって何を優先するかを決めることです。

  • とにかくスキルアップできる
  • 単価が高い
  • 人間関係
  • 案件の規模

この優先順位は経験を重ねたり、自身の家庭環境の変化などで変わって行くと思います。ご自身がモチベーションを維持して、能力を発揮できることが一番だと思いますので、それがどのような案件であるかは明確にしておくことをおすすめします。

まとめ

「良い案件」がどんな案件であるかは、一言で言うことはできません。人によって異なるからです。

僕にとっての「良い案件」が他の人にとっては「避けたい案件」であることは普通にあります。実際、僕にとっては相性が良いなと思う案件にいても、後から参画してきた人がすぐに離任してしまったことは結構あります。

人によって価値観が異なるので、働きやすい環境の基準も異なります。極端な話、炎上案件を好む人もいますし(かなり少数派ですが)

ご自身が幸せであることが一番ですので、現在のご自身の価値観に合う環境で働くことがベストです。それがどのような環境なのか。一度棚卸ししてみてください。

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